開戦に走る焼野はくたびれて
消滅の語りはぐれた白鳥か
列車内一人一人の大火
ゲレンデに 降らないことを選んだの
ビー玉の落ちる 落ちる ラムネに陽
ユッカ まぼろしの転校生の裾
夢をみる睫毛の向こう合歓の花
パラソルの刺さりっぱなし 還れない
幻惑の解れてかぎ針編みレース
注射痕ばかりかがやく錦糸町
試されるべきはこぐま座 落ちてきて
プリズムの後ろ髪追う
数列の朽ちれば麒麟草まわる
花粉取り除かれて買う白百合は
喪失の庭に遍く額の花
五月闇取り次ぐだけの電話切る
唾棄すべき冷笑に刺す 薔薇あおく
逃げ出したこともありうる蛇苺
ドロップス融けて固まる春の宵
ビル上のクレーン揺れる藤の花
あんずいろ 炙られてゆく あきらめないゆうやけ
高架下のダンボールに降って さくら さくら
ホームで聴く 鳥の鳴き声 鳥を知る人が居なくなっても
翻訳機もらって捨てた春の闇
ゆ ら 運河の気配 泡立つ
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類